佐倉メサイアを振る

このところブログを書く余裕がなく、最後の投稿からすっかり3ヶ月以上も経ってしまいました。その間幾つかのコンサートとCD評などがでておりました。そのうち書きたいなとは思っていますが、今回のコンサートについてはやはり記しておきたいと思い、投稿いたします。

去る5月30日。佐倉市民音楽ホールにて、ヘンデル作曲のオラトリオ《メサイア》全曲の指揮を致しました。

  

メサイアは僕の音楽人生にとって特に大切な作品になります。僕がまだ大学院生の頃、仕事として初めてプロオケで歌わせてもらったのがメサイア。CDとして初めてリリースされたのもメサイア。それ以来、要所要所でメサイアは僕の中で重要な作品となりました。しかしそれ以前にもメサイアには思い出が。

中学時代、ミッション系の全寮制の三育中学校にいた頃、たまたま同級生3人の両親共が音楽家ということもあり、それぞれの親がソリストを務め、中学生が合唱を歌うという貴重な体験をしました。勿論抜粋ではありましたが、とても充実したコンサートで、僕はその時ハレルヤの指揮を務めました。

僕は指揮者になりたいと夢を語っていた時期もこの頃。その後は高校2年生頃、フルートから声楽に転向し、演奏する側にいましたが、大学2年生頃、現在指揮者として活躍中の海老原光さんに誘われ、同期の楽理科で現在はピアニストとして活躍の巨瀬励起くんと3人で学外の指揮法教室に通い始めました。斎藤秀雄先生の弟子で、斎藤先生から引き継いで指揮法の教本も手がけた高階正光先生に2年半、基礎から応用までを勉強しました。ちょうど世紀末の1999年だったので、芸祭でオーケストラを集めて各世紀末の作曲家を集めて指揮をしたりもしました。(僕は17世紀末担当になりパーセルの《インドの女王》を指揮。)しかしその頃は指揮者になりたいのではなく、演奏者として如何に指揮者の要求を感じとるかの為、指揮を習っていました。しかし、指揮を勉強した事は、その後の合唱指導の際にとても役に立ちましたし、歌っていても指揮者の要求とテンポを読み取る事に活きていました。

しかしこの度、メサイアの指揮を務める事になりました。それも全曲ノーカットです。(全曲の言い出しっぺは僕ですが。)

  
合唱団は佐倉メサイアを歌う会です。この合唱団は2007年に日本基督教団佐倉教会を母体に立ち上がり、これまで3回メサイアを歌ってきました。僕は創設からこれまで合唱指導として関わってきました。いわゆる合唱好きが集まった団ではないのですが、丁寧に練習を重ね、毎回とても豊かな声を聴かせてくれました。そして今回僕が正指揮者として引き継ぎ、満を持して全曲演奏に踏み切ったのです。それは聖書の言葉をテキストにしたメサイアを、教会を母体とし、その意味をよく理解しているこの合唱団だからこそ歌うべきと考えましたし、ヘンデルが作曲した全貌をお客様に届ける事は大切と思いました。

オーケストラはクリスチャンで構成された「ユーオーディア」でモダン楽器ですが、僕が指揮することもあり、かなり古楽奏法を取り入れテンポも速め、そしてなによりもヘンデルが得意としたオペラ同様に曲間を流れるように演奏しました。しかしオケ練習が9日と前日しかありません。最初は戸惑っていたオーケストラですが、勉強熱心なコンサートミストレスの蜷川さんは前日までには研究を重ね、オーケストラもさすがプロだと思うほど本番までに変化してきました。大感謝!!そして要である通奏低音にはいつもコントラポントで共演しているバロックチェロのスペシャリスト西澤央子さんをお招きし、見事なリードでまとめてくれました。

   
 

そして僕が一緒にやるなら絶対この人という豪華なソリストたち。佐倉出身でベルギーで活躍していた華やかな音色が印象的な新保友紀子さん、素晴らしいオペラ歌手というだけでなくバロック音楽にも造詣の深い押見朋子さん、ヘンデル歌唱にスペシャリストに辻裕久さん、日本のトップバリトンで宗教音楽への豊かな見識をお持ちの青戸知さん。こんなメンバーは揃うなんて?!と目と耳を疑うようなソリストが、その魅力ある歌声を聴かせてくれました。

   
     
こんなメンバーで成功しないはずもありません。本番はソリスト、オーケストラに加え、合唱団がこれまでで最高のパフォーマンスを聴かせてくれました。僕も驚くばかりでした。実は今回、本当は乗るはずだった人が公演前に亡くなってしまったのです。僕が浅草で教えていた合唱団、そして津田沼の合唱団にもきて、この佐倉メサイアにも僕を追いかけてきてくれた大切なメンバーでした。一緒に歌いはずだったのに。ゲネの時に思わず涙が堪えられなくなりました。でも、メサイアはキリストの復活を経て永遠の命を約束する作品。この公演が成功したのも、きっと僕らを支えてくれていた、一緒に歌ってくれていたからだと信じています。

こうして奇跡のようなメサイア公演は、たくさんの拍手と佐倉メサイア初のブラボーの声とともに終演しました。いつもは歌で舞台に上がる際は緊張するのですが、なぜか今回は一切緊張せず、それどころか舞台上では楽しくて楽しくてしょうがない程でした。指揮台の上で音楽を通して共演者と会話し、心通わせ、音を出さずとも一緒に歌えました。こんな感覚は初めてでした。今回のメサイアは僕にとって特別なものとなりました。関わってくれた全ての人に感謝したいです。

最後に貴重な指揮姿の写真を。素敵な写真を撮って頂いたあるカメラマンにもありがとう!!

   
         

そして素敵なソリスト達と。

  

因みに今回の公演は全曲ケーブルテレビCATV296で放映される予定です。地域限定ですが、お楽しみに!

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