花子とアンの音世界

怒濤の本番ラッシュもいよいよひと段落。最後は勤務校である聖徳大学の生涯学習センター(SOA)主催の秋期公開講演会&演奏会「村岡花子・赤毛のアンをめぐる文学と音楽の世界」です。

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この公演が僕に依頼されたのには、不思議な巡り合わせがありました。すでに最終回を迎えましたが、NHK朝の連続ドラマ「花子とアン」に関連してSOAが講演会を開催するにあたり、音楽学部にミニコンサートの依頼があったようです。なかなか特殊なテーマな上、それも1週間後にはチラシに出す内容を決めねばならなかったようで、音楽学部の中で検討していたところ、モンゴメリの生まれはカナダだけど、この辺はノヴァスコシアがありスコットランド系移民が多いようだ。この辺なら僕が何か知ってるのではとの意見が出て、僕に相談がきました。

調べてみると、確かにカナダのこの近辺はスコットランド系ケルト音楽が盛んで、作者モンゴメリもスコットランド系移民の家系であり、自分のルーツであるスコットランドやイングランドに強い憧れを持っていたようでした。
これなら僕がプログラムをたてる事ができそうだと思い、お引き受けする事にしました。
主にスコットランドの国民的詩人ロバート・バーンズや、モンゴメリの生きた時代である19世紀を想定したいと思ったのですが、普通にモダンのピアノより、もっとノスタルジックな音色がいいなぁと思い、「聖徳に年代物のピアノなんてないですかね」と呟いたところ、「あります!」とのお返事が!?
なんと明治政府が学校制度に音楽教育を導入し、1879年に音楽取調掛を設立した際、アメリカから輸入されたクナーベ社のスクエアピアノ10台のうちの1台が、この聖徳大学にあるとのこと。しかも現存しているのは聖徳大と東京藝大の計2台。聖徳のピアノは6年前の学園周年事業のために修復され、高円宮妃殿下をお迎えした式典で演奏されたというじゃないですか。
さっそく展示してある図書館に見にいくと、実に美しく復元され、しかも演奏可能な状態で置いてあるじゃないですか!

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これを使わない手はないと思い、使用許可を取り、あっという間にコンサートの骨組みが完成しました。
すると、講演会の宣伝をするやいなや、あっという間に150席のホールが埋まったとの事。しかも朝日新聞にもこれから掲載されるというのに、キャンセル待ちまで出てしまいました。これでは掲載してもお客様に断らなければならないのは問題だということで、急遽追加公演を決めました。この様な事態は、SOA始まって以来初とのこと。追加公演も即日完売してしまいました。
要因は「花子とアン」の人気もあっただろうし、19世紀スクエアピアノという目玉も魅力だったのかも知れません。

そんなこんなで調べに調べて、プログラムは「憧憬のカレドニア 〜モンゴメリのルーツを求めて」と題し、スコットランド伝承音楽を柱に組み立てました。

プログラム
輝く湖水に、お化けの森、そして小さな白いスコッチローズ。『赤毛のアン』には移民2世である作者モンゴメリのルーツ「スコットランド」への憧憬の想いに溢れています。19世紀の柔らかなピアノと共に、アンが愛する詩や想像の世界を感じて下さい。

●スコットランド民謡 Traditional Song
ああなんということ O Waly, Waly (悲しみの水辺 The water is wide)
 /ベンジャミン・ブリテン編曲

●モーリス・ラヴェル Maurice Ravel (1875-1937)
スコットランドの歌 Scottish Song(ドゥーンの川辺 Ye banks and braes o’ bonnie Doon)
 /ロバート・バーンズ作詩

●カール・レーヴェ Carl Loewe (1796-1869)
詩人トム Thomas der Reimer 作品135

<ピアノ独奏>
●ハミッシュ・マッカン Hamish MacCunn (1868-1916)
ウェルカム・ダンス Welcome Dance
 「6つのスコットランド舞曲 6 Scottish Dances」 作品28より

<19世紀フルート独奏>
●スコットランド伝承曲 Traditional Melody
ああ、なんということ Waly, Waly ~ リール・オブ・トゥロッホ The rell of Tulloch
  (Variations arranged by David Young)

●スコットランド民謡 Traditional Song
やさしいキス Ae fond Kiss
 /ロバート・バーンズ作詩・ジャン・ニコルソン編曲

2回に渡る公演は大好評でした!!!

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プログラムを考えた僕としては、ドラマでスコット先生が歌ったThe water is wide 以外はかなりマイナーな内容なので、お客様が楽しんで頂けるか心配したのですが、それは杞憂に終わったようです。お客様の反応はとても良く、スコットランド民謡の美しく、切ないメロディーを楽しんで頂けたようでした。

そしてやはり関心は19世紀スクエアピアノへ。最初に図書館で展示したあった時に軽く音を出した時には、意外にモダンピアノっぽいなぁと思いましたが、ホールに持ち込んでみると、その柔らかで、温かい響きにびっくりしました。実に包み込まれるような音色に、僕の歌も寄り添うように、声をギリギリまでコントロールしつつ、歌いました。まるでリュートと歌っているかのように。

そして今回、ケルトという事で、ちょうどクナーベのスクエアピアノと同じ時代のフルートも演奏しました。Rudall, Rose &carte(1855年製)の8鍵フルートです。ケルト音楽では、今でも19世紀に活躍したオールドスタイルのフルートを使用しており、今回は独奏でO Waly, Walyのスコットランド版と、ダンス曲The reel of Tullochを。

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そんなこんなで、とても楽しく、幸せな時間を過ごすことができました。
最後に講演をして下さった松村先生ともご一緒に、スクエアピアノを囲んで記念撮影。

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またこの素敵なピアノとご一緒できる事を願って。

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バリトン歌手
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