パラダン回想録

昨日はラモーのオペラ・バレ《遍歴騎士Les paladin》の本番で、練馬文化センター大ホールでした。
ここ3日間はパラダン漬けの日々で、徐々にボルテージも上がり、いい具合に本番に向かっていってました。

朝からスタッフが仕込みをしており、その舞台を見て、余りの見事さに見惚れてしまいました。

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フランスのバロックオペラは、ルイ14世から続くバレエの伝統から、オペラの中にも長大なバレエのシーンがあり、それ故に実に華麗な舞台になります。
このプロジェクトではオペラ界とバレエ界のシステムの違いが結構あるんだなぁと思い、その違いに戸惑いつつも楽しんでいたのですが、舞台本番のステージを見た時、それが予想以上に良い意味で実感させられました。

バレエが踊るスペースが必要なので、舞台上には小道具はなく、そこがオペラとの大きな違いでしたが、書き割りやバックの絵、そして見事な照明使いで、まるで夢の様な素敵な舞台が現れてました。
下手なちゃちいオペラのセットより遥かにゴージャスで、またその書き割りが正にバロックオペラから続く伝統がバレエに伝わっているのだと感じました。

それは舞台演出の錦織佳子さんの言葉からも感じ、演技上で行われる所作は、まさにバロックジェスチャーそのもの。それを感じた時から、僕は演技をよりジェスチャーに近づけていきました。

メンバーも実に素晴らしい人格と音楽性をもった面子が揃いました。なんと公演当日はコンマスの天野君の誕生日!という訳で、彼に内緒であるサプライズが企画されてました。
普通舞台進行が進み、ではG.P.開始の瞬間、序曲が始まるかと思いきや、突然ハッピーバースデーが?!緞帳が上がり、バレエダンサーは舞いつつ、リフトアップ!
フレンチピッチの見事なサプライズバースデーになりました。
*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)’・*:.。. .。.:*・゜゚・*

こうして皆の心が一つになった舞台は見事に大成功!!!

僕は年老いたヴェネツィアの元老議員で、美しい女性アルジを幽閉し、アルジと結婚し我が物にするアンセルムという役どころ。

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しかしアルジは若い遍歴騎士のアティスに恋焦がれ、アティスはアルジを助けに向かいます。怒ったアンセルムは復讐とばかりにアティスに向かうのですが、妖精マントの魔法によって弱みを付け込まれ、結局はアルジとアティスは結ばれて終わるというもの。

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今回の音楽監督で、指揮とチェンバロを弾いた武久源造さんによると、理屈屋として名が通っていたラモーはルソーに批判され、またヴォルテールは「ラモーは不幸にもリュリよりも音楽についてよく知っているようです。音楽における学者であり、几帳面で厄介な人間なのです。」と言われていたようです。そのラモーも年老い、悪役の偏屈で年老いたアンセルムに自らを投影したように思えるとの解釈を示しました。

ラモーも齢77歳。音楽はもはやバロックというより古典派に近く、これまで通奏低音だったファゴットをソリストのように使い、ホルンなども活躍するところが定年を過ぎた(当時に定年なんて制度はないだろうが)老人が作曲したとは思えない程の斬新さと、偏屈な性格とは思えない程の軽やかで生き生きとした音楽でしたが、フランス風舞曲を時に優雅に、時に民族色豊かで粗野で、その中に突然現れる歌手のエールなどバロックを残す組み合わせは、しっかり計算されており、理屈屋を意図させずとも、意図的さを思わせる、まさにラモーな音楽でした。

今回は芸大学部の同期であった小野和歌子ちゃんと、卒業以来の共演でした。といっても舞台上で絡むのはたったの一言でしたが…。ほぼ全ての幕が終わり、ダンサーが踊っている袖でほっと一息、この表情!

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どんなに頑張っても、最後のいいところは高声たちに持っていかれる、哀れな低声の2人。

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カーテンコールも終わり、舞台上でジョイ・バレエストゥーディオ芸術監督錦織佳子さんとプリマドンナの錦織舞さんと成功を喜び合いました。

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公演はこうして打ち上げ花火の様に華々しく、そしてあっという間に終わってしまいました。

惜しむらくはこうしたバロックオペラは、日本では定期的に上演される事がない事。ヨーロッパでは1シーズンに幾つかは上演されるのに、日本ではまだまだ劇場には上がらないなか、ジョイ・バレエストゥーディオの活動は称賛に値します。もっともっと多くの人に観てもらい、楽しんでもらいたい。きっと一度くれば、なんてバロックオペラって楽しいんだって思ってくれると思うし、それを知った上で古典派以降のオペラの変化を理解できると思います。
僕はこれからもジョイ・バレエストゥーディオの活動を応援したいと思いました。

最後におまけ。

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リハーサル中の3幕出陣前に、自ら進撃ホルンを吹くアンセルムの図。
Facebook上では白眼向いてるだの、下手そうだのコメント殺到しましたが(笑)、だって…バロックホルンって難しいんだよ!!
辛うじて2音だけ出ましたが、こんなの平気な顔して吹いている人々は尊敬に値します!!製作者でもあり奏者でもある大貫氏、そして中村氏、本当に素晴らしい!!!

というわけで、パラダン関係者の皆様、いらしてくださったお客様、みんなに心から、ありがとうございました〜!!!!
☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆

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