優しい森よ

ついに今年も8月に入りましたね。7月は大学がピークで、補講の為にほぼ毎日通い、そして試験などがありました。指導した生徒はそれぞれによく頑張っていましたので、とても嬉しかったです。

そしてそれらが明けた8月3日は、日本のトップ・リューティストである、つのだたかしさんプロデュースのHakuju Hall古楽ルネサンス2013として、今年生誕450年を迎えるジョン・ダウランドシリーズの3回目に出演させて頂きました。

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ダウランド歌曲は有名で、よく古楽のプログラムにもリュート歌曲として歌われる事が多いのでが、今回はメインが四重唱。そう、ダウランドは4巻と『巡礼の慰め』とタイトルがついた歌曲集を出版しているのですが、その楽譜はソプラノとリュート譜、そして3方から覗けるように書かれたアルト、テナー、バス譜という形で出版されており、テーブルに譜面をのせて向かい合うように演奏されるようにできているのです。

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アルトやテナーなどの内声は特に難しく、なかなか四重唱の形での演奏は少ないのですが、今回はイギリス古楽のスペシャリストである波多野睦美さんを筆頭に、イギリス近代歌曲のスペシャリストの辻裕久さんがテナー、そしてやはりイギリス物を専門とする広瀬奈緒ちゃんという素晴らしいメンバーが集まりました!!
そこに僕が入るわけなのですが…。σ(^_^;)

テナーの辻さんはずっと以前に東京室内歌劇場のヘンデルのオペラ《アルチーナ》でご一緒させて頂き、それ以来の縁で、僕の父が主宰する熊本のグループでやった古楽オケによるモーツァルトのオペラ《フィガロの結婚》にバリジオ役でお招きし、素晴らしい歌唱だけでなく、実に愉快かつスタイリッシュな演技を見せて頂きました。その後に上野学園のオール・パーセルシリーズにも誘って頂き(その時にはソプラノの奈緒ちゃんとも楽しいデュオをしたのですが)、僕を何かとかってくださっておりまして、今回のお誘いに繋がりました。

ダウランドは僕も大好きで、まだ古楽科の学生時代に、栃木の蔵の街音楽祭のロビーコンサートで歌った事があります。それを四重唱で歌える機会がくるとは思わず、しかも素晴らしいメンバーという事で、気を引き締めつつ練習に臨みました。

ダウランドは先ほどのテーブル譜からも伺える様に、アンサンブルの距離がとても近く、普通の声楽アンサンブルとは趣の違うものを想像させます。
しかもリュート歌曲なので、リュートの音がしっかり聴こえつつ、歌い手は囁く様に歌いつつ、力みのない歌唱で、しかも音程はしっかり保ちつつ、響きは豊かに溶け合う…とプログラムに載せてあるほど。;^_^A

そのコントロールの難しさ!!まさに極限まで自らの音を保持しつつ、大声で歌わず、それぞれの声が立ちつつも溶け合い、響き合う。まさに理想ではありますが、ここまで自分を追い込んだ事はありませんでした。
最初は難しかったのですが、練習を重ねる毎に響きに慣れ、すると周りの音と言葉が聴こえ、リュートが語るように入り、素晴らしいアンサンブルが生まれました。
ここに波多野睦美さんの声の秘密があったのかと、共演してよく分かり、僕自身とても勉強になりました。

ダウランド歌曲は1曲が短いので、プログラム全体で20曲にも及びました。練習ではページをめくってもめくっても終わらず、だんだん脳もウニように溶けてきそうでしたが、慣れてくるとそれもなくなり、本番ではあっという間に感じました。

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今回は様々なフォーメーションで歌いました。リュートを中心に、半円を描くものから、写真にはありませんが、お互い向かい合って、お客さんにまさに真横から見られる様な形とか、それぞれが無作為に立つ木の様な形など。

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このフォーメーションは、響きの豊かなHakuju Hallならではで、離れてても声は見事にミックスされ、歌ってもそんなに違和感がありませんでした。
今回の『優しい森よO sweet woods』というタイトルの様に、まさに森の中にいるようなα波が出てる様な響きでした。

4人歌手がいるので、それぞれのソロもありました。僕は「悲しみよ、とどまれSorrow stay」という2巻にある素晴らしい曲を歌わせて頂きました。集中力のある曲で、ちょっと緊張したけど、つのださんから本番が一番良かったと言われて、ちょっと嬉しかったです。(笑)

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また、ダウランドも後期になると様々な曲想が増えてきます。ダウランドといえばメランコリーですが、そうではなく、明るく、ちょっとユーモアに溢れた曲も。これは奈緒ちゃんとの2重唱で。

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そんなこんなで終わった本番。これだけ集中して緊張感で疲れるかと思いきや、本番はとても楽しく、森の中で歌ったかの様な気持ちの良い感じでした。こんな気持ちで終わった本番は初めてでした。

終演後、舞台袖で出演者揃ってにっこりと。

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今回は僕のこれまでのコンサートの中でも最高の濃密かつ親密なコンサートでした。それも素晴らしいメンバーがいてこそ。皆からは凄く勉強させて頂き、刺激を受け、素敵な音楽を共有させて頂きました。
本当にありがとうございます!!!

そして満場のお客さんも、とても暖かく、心に浸みるような感動を共有しました。本当に最高の瞬間でした!!!

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バリトン歌手
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