よか舞台!!

今日は新箏奏者の藤川いずみさんのリサイタルにゲスト出演してきました。
藤川さんとの出会いは2年前のお正月。母から紹介され、その後、日本橋でやった「お江戸バロック」で演奏してもらいました。そこで気が合い、熊本で語り座の寿咲亜似さんの「蛇の目と九曜」で今度は僕と妻を呼んでくれました。その時、お互い音楽で語り合える相手と感じました。
そして今回。藤川さんのリサイタルに呼んで頂きました。演目は最初に出会った時に是非一緒にやりたいと言われた、三木稔作曲の「ベロ出しチョンマ」でした。

藤川さんは三木稔さんが芸術監督をされているオーラJで演奏し、2011年に残念ながら亡くなられた三木稔全作品の管理、運営、出版を任されています。

藤川さんが演奏されている新箏とは、1969年に20本の絃で誕生した二十絃を、1971年に21本になった楽器。その楽器を三木稔さんが21本から取り、21絃箏を「にいごと新箏」と提唱した様です。
音域も広がり、伝統的な奏法から、現代的な奏法まで幅広く、多彩で、表現力豊かな楽器です。

その楽器表現力を存分に生かしてをソロに、伴奏にと作曲されたのが、この歌楽「ベロ出しチョンマ」です。歌楽とは三木稔さんが新しい浄瑠璃として、日本芸能の語り物を現代の語りと音楽手法に拠ったモノオペラとも言える音楽劇です。
しかも話の内容が、僕が住んでいる千葉県佐倉市にまつわる下総佐倉藩の佐倉宗吾(木内惣五郎)を、斉藤隆介が創作童話にしたもの。

チョンマとは長松が訛った呼び名。殿様の過剰な年貢に絶えかねた長松のお父さん達が将軍家に直訴に行った為、その罰として磔になってしまいました。しかも、その家族までも…。長松にはウメという3歳の妹がいたのですが、そのウメまでもが見せしめの為に磔になってしまいます。長松はいつもウメをあやしており、泣きべそかかないように変な顔をしてはウメを笑わせる優しいお兄さん。磔柱につけられ泣きじゃくるウメに、自分も磔になりながらも、「ウメ、あんちゃんの面を見ろ」と言って、眉毛を「ハ」の字に下げ、ベロっとベロを出して死んでいきました。
佐倉藩主堀田正亮公は後にその償いとして惣五郎を祀り、それから宗吾様と呼ばれて宗吾霊堂が建てられました。
そこに民芸品として、紐を引っ張ると眉毛がハの字になり、舌を出すオモチャが売られています。

この曲はピアノでもよく演奏されていますが、初演は新箏として作曲されています。音色がちゅわ〜んと変わったりするお箏の奏法が、長松やウメ、その時の状況を見事に表現しており、その真価はやはりお箏でしか味わえないと感じました。

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終演後に藤川さんと一緒に。

そして後半は歌楽「鶴」。今度は蓑田由美子さんの25絃箏が加わり、2台のお箏の迫力は凄かった!!語りは寿咲亜似さん。そして僕が本来は尺八のパートを藤川さんの希望により19世紀フルートとバロック・フルート・ダモーレで演奏しました。「カラカラ」と呼ばれる奏法や、「むらいき」、「すり」といわれるポルタメント的なものなど尺八ならではの奏法がありましたが、意外に木製に、管に直接指穴が開いているオールドシステムの19世紀フルートだと尺八と同じ奏法が可能で、しっくり合いました!使用したのがベーム式で名工といわれるLouis Lotのオールドシステム。これが実に吹きやすく、表現力も豊かでした!!

そして悩んだのが、長管という低い音の部分。普通のフルートの音域だと出なくて、オクターブ上げると雰囲気も台無し…。そこで思い立ったのが、数年前にソナール・カンタンドのケルティック・バロックでも使用した、フルート・ダモーレ。ダモーレd’amoreとはイタリア語で「愛の」という意味で、普通のフルートの3度低いアルトフルートです。今回はフルート製作家の杉原広一さんにお借りして、Stanesby Jr.モデルで、吹いてみるとニヤニヤするくらい尺八っぽい音がしました。

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「鶴」は、鶴の親子の話。
鶴の子供が猟師に捕まり、子を探す鶴の母親。狂った様に探す母鶴、見つけたが檻に捕まっており、鶴の姿、羽ではその檻を開ける事ができない。鳥という身を怨む母鶴。せめて人間だったらと願い、その思いが叶い、人間になり子を助けました。しかし子は人間の姿の為に親とは気づかず逃げて飛び去ってしまいます。逃げた事に気づいた猟師が母鶴を矢で射って殺してしまいました。今際の際で母鶴は子を想い、鶴の姿の魂となり幻の子と踊りつつ息を引き取ります。
子を想う親の心、子は知らずに生き延びる切ない結末。

その鶴を歌ったのが、奇しくも僕の母…。σ^_^;
少々微妙な気分でしたが、とても素敵な演奏となりました。

終演後に母と。

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2つとも涙を誘う、悲しい題材でしたが、そこに華を添えたのが熊本第一高校のお箏クラブの生徒たち。
藤川さんは母校でもある第一高校のお箏クラブに指導に行っており、生徒たちは見事なお箏のオーケストラのような迫力ある演奏を披露。
そして皆、振り袖姿で目にも華やかな舞台でした。

とっても素敵な舞台でした。
今回はお箏という日本の楽器の表現力に感動しました!!!

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