心暖まるフォーレ

今日は渋谷区文化総合センター大和田にて、みずほ合唱団の公演でフォーレのレクイエムを歌いました。

ここ渋谷の大和田ホールは実に素敵なホールで、僕は既に何度かここでオペラやコンサートで歌っており、好きなところ。

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午前のリハーサルでレクイエムのIntroitが流れはじめると、何とも柔らかな響きに包まれ、僕らを慰めてくれるようなフォーレの世界に入っていった。

今回は1893年版。オリジナル版とも呼ばれ、フルオーケストラではなく、室内楽で演奏されるのだが、そもそもフォーレが初めに意図した響きなのだ。
レクイエムの経緯については改訂が繰り返され、一般的には1901年のフルオーケストラ版が良く演奏されるが、この編曲はフォーレの手ではなく、弟子のデュカスと推測されている。

フルオーケストラになると、大編成の為か柔らかなフォーレの音楽とはいえ、やはり荘厳な響きとなるが、フォーレはこのレクイエムに対し「人間的な感情」を表現し、優しい「死への子守歌」と考えていた。とても身近な音楽なのだ。

今回の室内オーケストラは、まさにフォーレが身近な人に送った音楽という事を表現していたのだと感じさせてくれた。

ヴィオラ4にチェロ2という中低音の音色が実に柔らかく、優しく慰めてくれる声の如く奏で、時折出てくるコンバスのピッチカートが心に優しい灯火をつけてくれる。唯一の高音は弱音器を付けたヴァイオリン。それが実にピュア。ハープはその姿はもちろん、音が余りに美しすぎる。まさに天上の音楽だ。天から告げられる金管楽器は別れを言い渡されるようなトランペットではなく、ホルンが告げなくてはならないのだと、オルガンと共に惜しむ様に鳴らされる。

合唱団も良かった。音色が決して暗さを感じない。天上でまた会えるから、決して辛い別れではない。神様に抱かれ、救われ、そして生きている我らを見守ってるんだという様な、明るい音色だった。

ソプラノソロの美苗さんは、まさにお腹に新しい命を抱き、希望を感じさせるようだった。

全ては今回の指揮、初谷氏の人柄だったと思う。彼は僕と芸大の同期だが、僕は彼を心底信頼しており、その音楽作りに共感している。歌を良く知っているから歌いやすいだけでなく、彼の音楽が僕の音楽と良く響く。言葉で語らなくとも、音楽と、演奏中のアイコンタクトで。
幸せな事だ。

今回は色々な意味で、心暖まるコンサートだった。

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ヴォイトレの高橋ちはるちゃんも同期。この3人の笑顔が今日の演奏を物語っているかな。

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