東京公演2日目 心の整え方は?

無事にソナール・カンタンドの東京公演2日目が終わり、これで全ての日本公演を終了しました。

今回はテーマがバッハ。
バッハは古楽だけではなく、クラシック全般でも取り上げる、金字塔のような存在。テクニックも問われるし、なかなか重いテーマです。バッハは宗教音楽の大家であり、また器楽作品でも珠玉の名作が目白押しですが、常々思うのは、バッハは神格化され過ぎているのではないだろうか…という事。

当時でもドイツでは名高い作曲家ではありましたが、時代の流行はイタリア趣味。それに対抗するフランス音楽という系図で、バッハは鍵盤音楽の名手であるという噂はあっても、国際的に活躍していた同じ年のヘンデルに比べると一風変わった作曲家ではなかったかと思います。(これは僕の主観です。悪しからず。)

そこで今回、僕らはバッハという存在を、彼の息子2人の音楽も入れて様々な視点で聴いてみるプログラムをたてました。

バッハは音楽家になった息子が4人いますが、長男はどこの家族もそうかも知れませんが親の期待を一身に受けます。その結果、期待通りなれば良いのですが、バッハの場合、フリーデマンは期待され過ぎてか精神に異常をきたし、またしっかりバッハの音楽性を引き継いだばかりにロココへと向かう時代の変化についていけなくなってしまいました。バッハの影響を一番受けなかったのが4番目のクリスティアン。その音楽は古典派的でモーツァルトにも影響を及ぼし、一番国際的に活躍しました。

今回はそのクリスティアンの四重奏曲からプログラムを始めました。その音楽は軽く、シンプルでサロン的。

そして父であるセバスティアンは、珍しいイタリア語のカンタータ”Amore traditore”を。バッハがケーテンの宮廷楽長を務めていた頃の作品ではないかと推定されており、面白いのは2つめアリア。チェンバロがここぞとばかりに動き回るオブリガートは圧巻!当時、ヘンデルのオペラでも活躍していた国際的なバス歌手がケーテンに滞在した記録があり、恐らく彼が歌い、バッハ自身がここぞとばかりに弾きまくったのではないかと想像してしまいます。同じ頃にはブランデンブルグ協奏曲を作曲しており、バッハの人生で最も世俗的な時期で、ブランデンブルグ5番の様にチェンバロの存在感を模索しているのかな。こういった一面もまたバッハかと。

そして2番目の息子エマヌエル。僕は彼がとても好きです。作風はバロックが残りつつも、クリスティアンとは違った新しい時代を進み、ハイドンに繋がる様な音楽。今回は前から大好きだったイ長調のトリオソナタ。1鍵のフルートで吹くにはなかなか難易度のある曲でした。新しい風を感じるのは緩徐楽章である2楽章。多感様式と言われるように、感情がストレートに音楽になり、メランコリーな気分になります。

こうした前半のプログラムから一転後半はオール大バッハ。
こうして聴き比べると、バッハの正当的な作品はとても構築的で、ジグソーパズルを組み立てている様な感じがします。しかし、そこには音楽がある。
ヴィオラ・ダ・ガンバのソナタト短調、ヴァイオリンソナタのホ短調、そして教会カンタータに、マタイ受難曲から”Komm,süsses Kreuz”。これは本当に名曲ですね。

アンコールにはちょっと面白い趣向を凝らしました。これは聴いた人だけの特権という事で。そのうちまたやるかも。(^ν^)

福岡、熊本に東京2回と4公演を通して、思ったのは心の整え方の難しさ。4回それぞれが違った所で良い所と今一な所があり、しかもこういった自主企画で演奏に集中しなければならないというのは、毎回考えさせられますね。

でもお客様は皆さんとても良い笑顔でお帰りになってくれ、それが一番です。

今度はイタリア公演。ブレーシャ国際古楽音楽祭”Settimane Barocche di Brescia” と、クレモナの教会での2公演。
素敵な演奏会になるように、頑張ります!!

広告

yk について

バリトン歌手
カテゴリー: Music パーマリンク

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中